海技免状・試験

2013年2月16日 (土)

船舶職員養成予備講座 改

去る1月30日付けで国土交通省海事局海技課が発表したプレスリリースに、興味深い記事がありました。

 

『内航海運事業者の自社船を活用した乗船実習を平成25 年10 月より開始』

http://www.mlit.go.jp/common/000986188.pdf

 ↑ 詳細はコチラ

 

内容を要約すると・・・

「これまで行ってきた海上技術短期大学校や海員学校の練習船実習の一部を、内航海運に従事している実際の船舶で行う」

というものです。

 

確かに、有効な手段と思います。

学校での練習船実習では、『船舶を運航する』ための実習であり、悪い表現になりますが、『運航するだけ』の実習でした。

つまり、「実際の商船では、どのような業務を行っているか」ということまでは教えていないのです。

あくまでも、講義・座学での耳学問だけです。

実際に内航船に乗ったまではよくても、荷役や航行中の積荷の管理などの重要な部分については、何も知らないワケです。

またイチから教わらなくてはならない状況なので、場合によっては、ドロップアウトしていく人達も少なくはないでしょう。

ただでさえ内航海運に従事する船員は減少が止まらず、また高齢化も進む一方です。

ある程度早め(この場合は学生のうち)に現実を見せておいて、また学生のうちに教えられるものは教えておいて、学校卒業後は、文字通り『即戦力』として働いてもらえるようにしようとしているようです。

 

では、現実を見たがために船員への道をあきらめる人が出たらどうでしょう。

会社側だけでなく乗組員側も、期待をもって新船員を迎え入れたまではいいですが、上記のようにすぐにドロップアウトされたとなると、ガックリと肩を落としてしまうことは間違いないと思われます。

で、会社や乗組員はこう思うのではないでしょうか。

「はぁ・・・。若いモンは、これだからダメだ・・・」

こうならないためにも、学生たちに早く現実を見せておいて、

「オレにはダメだ。こんな仕事はよーやらん」

と思うのならば、早めに道を変えさせるという面もあるのではないかと推測しています。

ということは、キビシイ現実を見ても残っている人達は、相当の覚悟をもった人達ですから、期待できる人材であるということにもなります。

 

実は、学校の練習船以外で、会社の船を使った実習というのは、かなり以前にはよくあった話だそうです。

ただしそのころは、内航船ではなく、外航船を使った実習でした。

各商船高専や商船大学だけでなく、我が母校の水産系大学校でも、外航のタンカーやコンテナ船での実習がありました。

これを『社船実習』と呼んでいました。

(ちなみに社船実習が海員学校でもあったかどうかはわかりません。情報が無いので・・・)

外航各社が実習学生を乗船させ、運航だけでなく荷役も教え、卒業したらそのまま入社させるという『エスカレーター方式』が多かったと聞いています。

しかし、こうした学生の受け入れが、いつくらいかはわかりませんが、激減してしまったのです。

私が学生時代も社船実習はありましたが、1名のみ受け入れ可という会社が1社だけありました。

乗船学生が約30人で、受入数が1人・・・

無論私は行けませんでした・・・。

 

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2012年2月25日 (土)

海技士(機関)試験例題 その27

例題:

温度計や温度センサーについて説明してください。

 

バクゼンとした質問ですが、ご了承ください。

説明すべき内容は、種類・作動原理・用途例などです。

種類は、

・アルコール温度計

・水銀温度計

・測温抵抗体

・熱電対

この4つが主だと思われます。

 

作動原理ですが、アルコールや水銀の温度計は・・・ご存知ですよね。

測温抵抗体は、温度変化により抵抗値が変化するものです。

そのため使用時、つまり通電してやると、温度変化が抵抗値の変動となって現れます。

熱電対は、2つの異なる金属を接合させると電圧が生じるという現象(ジーベック効果といいます)を応用したものです。

この現象では、温度変化がある場合、生じる電圧が増減します。

これらが原理の概要ですので、さらに深く掘り下げてみてください。

 

用途例ですが・・・

それぞれの温度計・センサーの特性を理解したうえで、どのような箇所に使うのが適しているのかを考えてみてください。

またそれとは逆に、現在機器類各部にしようしている温度計やセンサー類は上記4つのうちどれであるかを調べ、その箇所はどのような条件下となっているかを考えれば、温度計・センサーの特性もわかってきます。

 

熱電対において『2つの異なる金属を接合』ですが、この部分にはプラチナといった高価な金属を使用しています。

こういった高価な金属類は温度変化に対して敏感に反応するため、より精度がよいセンサーとなるからです。

とはいえ、温度感知部としてごく少量の高価な金属類を使い、それ以外の部分はニクロム線を使う・・・といった方法は、精度がガタ落ちとなります。

ですので、高価な金属類を使用する部分は多い方が精度はよいのですが、奈何せん高価になります。

そこで温度感知部には高価な金属類を使用し、それ以外には酷似した特性を持つ、比較的安価な金属を使用する場合が多いようです。

『酷似した特性を持つ比較的安価な金属』のことを、補償導線といいます。

ここ、重要ですよ。

 

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2012年2月10日 (金)

海技士(機関)試験例題 その26

例題:

プレート式清水冷却器の利点を述べてください。

 

久々の例題です。

プレート式清水冷却器(通称:プレートクーラー)は、プレス加工によって規則的な凹凸が付いた数十枚の金属製の板を重ね、板と板の間はパッキンを咬ませて水密の隙間を設け、その隙間に液体を流して、冷却対象の流体を冷やすものです。

無論、冷やされる液体(エンジンの冷却清水など)と冷やす液体(海水、低温冷却清水など)は混じり合わないようにされています。

図示してもヤヤコシイのに、文章ではなかなか表現しづらいですから、この程度の表現しかできません。

ご了承ください。

かつては・・・といっても今でもかなり使用されていますが、チューブ式(多管式ともいう)が主流でした。

チューブ式冷却器は、円筒形の冷却器内部に銅管が通っており、銅管に海水を流し、その銅管の外側に冷却清水や冷媒ガスなどを流して冷却しています。

 

なぜチューブ式からプレート式になったのでしょうか?

プレート式のほうが、冷却の効率がよいからです。

ではどういった理由で高効率なのか・・・

考えてみてください。

これに加えて、『清水と海水の流れる方向が同じなのと反対であるのと、どちらが効率が良いか』も答えてもいいかもしれません。

 

メンテナンスの良さも移行の理由の1つになり得ます。

プレートクーラーは、板を1枚1枚はがしてパッキンもはずし、板の両面をナイロンタワシで磨きながら水洗いします。

汚れ具合次第では、メーカー指定の薬品をしようする場合もあります。

チューブ式は、冷却器の両端がフタのようにとることができますので両端または海水配管と接続した側のフタを外し、前述した銅管の中にブラシを一番奥まで突っ込み、2~3回ブラシを抜き差しすることで、銅管内の汚れを除去します。

この作業を一般的に『チューブ突き』と言います。

どちらがラクか・・・ということになります。

 

私の個人的なメンテナンスの感想ですが・・・

プレートクーラーの圧勝です。

板同士をうまく合わせ、パッキンもはさみ、水漏れが出ないように復旧させるので、神経は使いますが・・・

チューブ式は、チューブ突きが根気の要る作業なんです。

直径30cmくらいで長さ1mくらいの小型のチューブ式クーラーでも、銅管の穴は50個近く開いていますので、それら1つ1つの最奥まで2~3回ブラシを抜き差ししなければなりません。

慣れない頃は、手の皮がムケました。

軍手なんぞ役にたちません。

むしろ海水がしみ込んで、余計に作業しづらいです。

 

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2011年7月23日 (土)

海技士(機関)試験例題 その25

例題:

動力伝達用のベルトには、平ベルトとV(ブイ)ベルトがあります。

しかしほとんどの機器では、Vベルトを使用しています。

Vベルトの利点となるような特徴を述べてください。

また、Vベルトを交換する際の注意点も述べてください。

 

Vbelt_2

上の画像がVベルトです。

この画像ではわかりませんが、ベルトの断面はVに近い台形になっています。

外側が幅広で、内側が幅狭です。

平ベルトは、その名の通り、平らな帯の様なベルトです。

どちらのベルトも、駆動軸側のプーリーから被駆動軸側のプーリーへと、動力を伝達します。

なぜVベルトが主流になっているのか・・・

平ベルトよりも優れた点が多いからこそ、主流になっているのです。

その点とは、どのような点でしょうか・・・

注目すべき点は、

・摩擦力

・くさび効果

この2つがメインだと思います。

Vのような断面なのは伊達や酔狂ではないのですから、2つの点も含めて考えてみてください。

 

交換する際の注意点ですが・・・

交換するのは、『切れた』または『切れそう』な場合です。

なぜ切れそうになるか・・・

・経年劣化

・ベルトの張力不良

・2つのプーリーの着き方が正確ではない

これらが主な原因です。

では、どのように対処すべきか・・・

これを考えてください。

 

ヒントとして、

『同じ箇所に2本のVベルトを使っている場合、必ず両方とも交換する』

なぜでしょうか?

 

かつて私が学んだ教科書に、

『2つのVベルトを交換する際には、同じ原材料からつくられ、同時期に製造されたものを使用し、同時に交換する』

とありました。

しかし、これはほとんど不可能です。

『同じ原材料からつくられ、同時期に製造されたもの』を探し出すことが、非現実的ですよね。

 

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2011年6月23日 (木)

海技士(機関)試験例題 その24

例題:

主機関の運転中に回転計が壊れてしまい、正確な回転数が検出されなくなりました。

しかし、すぐに回転数値が必要な状況になりました。

どうやって読み取ればよいでしょうか。

 

「フライホイールをよーく見て、単位時間あたりの回転数を数える」という方法は、今回は不正解とします。

あながち間違いではないですが、フライホイールの回転を目視で追いかけていると相当に目が疲れるうえに、不正確な値しかでない可能性が高くなりそうですから。

 

ストロボ式の回転計で読み取るという方法もあります。

ただし、フライホイールに反射板を既にとりつけてあることが前提ですが・・・。

 

それ以外の方法だと・・・

 

機関の回転数と、同値または正比例する値で動作する箇所があります。

そういう箇所はいくつかありますが、その中でも安全かつ比較的ラクに計測できる箇所がありますので、その場所を考えてみてください。

 

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2011年5月26日 (木)

7月定期 海技士国家試験のご案内

5月27日から、海技士7月定期試験の受付が始まります。

締め切りは、6月16日までです。

なお、口述試験のみ受験の場合は、6月30日までとなっております。

試験申請の代行をお考えの皆様、是非とも当事務所をご利用ください。

全国の受験地に対応いたします。

詳細はWebサイトまたはモバイルサイトをご覧ください。

Webサイトはコチラからどうぞ。

モバイルサイトはコチラから。

 

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2011年5月13日 (金)

海技士(機関)試験例題 その23

例題:

過給機の軸受の潤滑はどのように行われているか述べてください。

 

主に2つの方法があります。

 

・ポンプによる強制注油による潤滑

その名が表す通り、ポンプで潤滑油を送る方法です。

潤滑を専用の油(タービン油等)で行っているのか、システム油との共用なのかにより、配管の仕様等が変わってきます。

配管仕様等の説明が必要になってきます。

 

・軸受端に設けた油溜からの潤滑

油溜には、軸に取り付けられた2枚の円盤が浸かっており、その円盤が回転することで油をかき上げることで潤滑させます。

なぜ2枚なのか・・・その原理の説明も付け加えてください。

油をかき上げた時に泡立ちが発生するのはやむを得ないことですが、あまりにもひどすぎると不具合を生じます。

その理由の説明もできれば、なお良いのではないかと思います。

 

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2011年4月15日 (金)

海技士(機関)試験例題 その22

例題:

主機関の使用を終了させる際はどのような点に注意するのか、述べてください。

 

船舶においては、一時的にエンジンを停止させる場合には「Stop」(機関停止)と表現します。

一方、停止させてから1日から数日間は使用しない場合は「Finish」(機関終了)と表現します。

どちらもエンジンを止めることには変わりないのですが、Finishのほうが手順が多くなっています。

今回の例題は、Finishのほうです。

 

エンジンの運転レバーを停止位置にもっていって「ハイ終了~。さて一杯やろうかね~」ってわけにはいきません。

様々な点や数値に注目しつつ止めることが大事です。

止めた後も、

・機関内の残留排ガスをどのように排出するのか

・なぜエンジンを冷却し続けるのか

この2点を主に答えるのですが、その方法や理由も、実に多種多様なものとなります。

例えば、2サイクルと4サイクルとでも方法に違いがあります。

皆さんが実際に扱われているエンジンについて答えるだけでなく、どのエンジンにも共通しそうな答えも必要になってくると思われます。

海水冷却と清水冷却の場合でも、かなり異なってきます。

ただ、海水冷却のエンジンはだいぶ少なくなっているかもしれませんが、方法の1つとして問われるかもしれません。

 

まずは、皆さんが実際に行っている「Finish」の手順の理由からよく考えてみてください。

 

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2011年3月 9日 (水)

4月定期海技試験のご案内

4月定期海技試験の日程等が発表されました。

申請開始日は、3月7日からです・・・って、もう始まってますね (゚ー゚;

締め切りは3月28日までです。

ただし口述試験のみ受験される場合は、4月11日までとなっています。

 

当事務所では、海技試験の申請代行業務を行っております。

全国の受験地に対応致します。

受験をお考えの方々、

申請の代行は当事務所にご用命ください。

ご不明な点やご質問などございましたら、当事務所にご連絡ください。

ただし、匿名やハンドルネームのように人名や法人名とは異なると判断した場合は、返事はいたしません。

ご了承ください。

 

今回はありがちでベタな宣伝になってしまいました。

 

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2011年3月 2日 (水)

海技士(機関)試験例題 その21

例題:

あなたは燃料油の積み込みの担当を命じられました。

どのような点に注意が必要でしょうか?

 

船舶の燃料の積み込みは、車にガソリンや軽油を入れるみたいに「満タンお願いね!」って具合にはいきません。

油槽船から積み込み用配管(ホース等)を本船に接続すればいいという問題でもありません。

 

燃料の積み込みの際に最も気をつけなければいけない点は、

燃料をタンクからあふれさせないこと!!

これに尽きます。

もしあふれて海上に流出したら、『海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律』に抵触します。

 

・・・とはいえ、これではバクゼンとしすぎているため、答えにはなりません。

あふれさせないようにするためには、どのような点に注意しなければならないか・・・

となれば、

  • 本船側受け入れタンク容量
  • 配管のバルブ操作
  • 油槽船側ホースと本船側受け入れ配管との接続状況
  • 流量、流速
  • 空気抜き管

その他にもあるでしょう・・・

これらの項目について、どのような点に注意・着目しなければならないかを考えてみてください。

 

他にもまだまだあります。

  • 油槽船側がごまかしていないか
  • 積み込み油種を間違っていないか
  • どこに人員を配置するのか
  • 『火気厳禁』が徹底されているか
  • 流出等の異常発生時の対処及び配置は?

などなど・・・

上記はあくまでも概要です。

ごまかされないようにするには、どうするのか・・・

ごまかしを未然に見つけるには、どんな方法があるのか・・・

それぞれについて考えてみてください。

 

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